デジタルマニアック

今さらながらですがKindleを使ってみました ― 印刷会社が考える電子書籍の未来

スティーヴン・キングとKindleの初体験記

1. きっかけは、とあるブログから

先日、「note」というコンテンツ配信サイトを見ていたところ、在米日本人の方のブログに偶然出会いました。ポピーさんは「スティーヴン・キングの原書が目標」とブログ冒頭に記して自身の英文読書(英語多読)の記録を細かく公開していたので、私は興味深く記事を読書をしました。 [*1]

これまでの私の英語読書で不便だなと感じていたのは、意味が分からない英単語に出くわすと、いちいち電子辞書やスマートフォンで検索するのがとても面倒くさいという点です。まあ、当たり前の話といえば、それまでなのですが…。そこで、Kindleデバイスと電子書籍を初めて購入してみました。タップ1つで英単語の意味を調べることができるので英語多読には最適ではないかと思ったのです。

2. Kindle Paperwhite 16 GB

Amazon通販で簡単に購入することができました。スペックは: 6.8インチディスプレイ、色調調節ライト搭載、広告なし、USB-Cケーブル充電。カバーとか保護フィルムなどのアクセサリーには興味がなかったので、購入しませんでした。

3. スティーブン・キング『The Institute』

ポピーさんのおすすめの中からThe Instituteという作品を選んで、Amazonでダウンロード購入しました。実は私はスティーブン・キングの作品をこれまで一切読んだことはなく、映画作品も観たことがありませんでした。映画『スタンド・バイ・ミー』が昔に流行ったことは知っていますが、テレビ再放送さえも観たことがなかったのです。じゃあ、どんな英語多読をしているんですかって質問が返ってきそうですね。私の最近の読書履歴は、サリー・ルーニー(Sally Rooney)のConversations with Friends(読後の個人感想:ふーん)、その前はアンディ・ウィアー(Andy Weir)のThe Martian(水素の作り方、ジャガイモ栽培が面白かった。Project Hail Maryも半分読んでみました)、その間にR・J・パラシオ(R. J. Palacio)のWonderも読みました(SummerもJackもいいやつだね)。なんだか系統がバラバラですが、そのあたりはお気になさらずに。

4. Word Wiseとプログレッシブ中英和辞典

さて、Kindleでは英単語の辞書引きに役立つ2つの機能がありました。1つ目はWord Wise機能で作中に出てくる難しい英単語の上部に簡単な意味(英語)を表示してくれます。

例えば、「barn(納屋という意味)」という単語の上に「farm building used for storage」と英語で注釈が出てきます。

2つ目は、その「barn」という単語を長押しするとプログレッシブ中英和辞典が開いて意味を知らせてくれます。とても便利で快適に読書が続けられます。

付け加えると、プログレッシブ中英和辞典では「(米)家畜小屋」と補足があります。そういえば、以前に読んだエリザベス・ストラウト(Elizabeth Strout)のAnything Is Possibleはアメリカ・イリノイ州の片田舎の話で、全焼してしまった農家の建物にも同じ「barn」というワードが使われていました。火事の原因は牛舎のmilking machine(搾乳機)の電源の消し忘れの疑いがあったのです。確かに「家畜小屋」ですね。

5. 印刷業界から見た電子書籍 ー 成長するデジタル読書

  • 日本の電子出版市場は5510億円(2021年度)で前年比14.3%増
  • 電子書籍のうちコミックは4660億円で84.5%を占める牽引役(前年比16.4%増)
  • オーディオブックも順調に利用者増。市場規模は140億円(2021年度)から2024年には260億円と予測可。
  • 日本の公共図書館では電子書籍の閲覧サービス増。2021年10月時点で258自治体がサービスあり(総自治体数1765の14.6%)。来館不要・24時間アクセス可能・貸出手続きの無人化・簡略化でメリット大。
  • アメリカでは2014年時点で電子書籍サービスは9割超の公共図書館で導入済。ストリーミングによるビデオ配信やオンラインセミナーなど多様化。 [*2]

現在、私のThe Institute読書進捗は3日間でまだ10%です。なんと!『裸のランチ』を読む天才少年(恐ろしい…)がSAT(大学進学適性試験)を受験している最中です。私はバロウズには全くついていけませんでした。

参考文献

  • [1] ポピー.(2021).「英語多読、はじめてみる。・・・の失敗談。レベルあわせは難しい。」. note. 2021-05-27. https://note.com/wanna_read_king/n/n2fcf6ec21f8b
  • [2] 日本印刷技術協会(JAGAT)編.(2022).千葉弘幸「成長が続く電子出版ビジネスと電子図書サービス」.『印刷白書 2022』.同協会

(補足)コラム内に登場した作品のビブリオグラフィー(紙の文献)

  • King, Stephen. (2020). The Institute. Gallery Books.
  • Palacio, R. J. (2013). Wonder. Corgi Children.
  • Rooney, Sally. (2017). Conversations with Friends. Faber & Farber
  • Strout, Elizabeth. (2018). Anything Is Possible. Random House.
  • Weir, Andy. (2021). Project Hail Mary. Ballantine Books.
  • Weir, Andy. (2014). The Martian. Del Rey
  • ウィリアム・バロウズ.(2003).『裸のランチ』(鮎川信夫訳). 河出文庫

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