用紙の厚さ
印刷の際、用途によって用紙の種類とその厚さも決めなければいけません。用紙が違えば料金はもちろん、印刷時のインキのノリや乾き、製本時の折りや加工などに影響します。つまり、印刷のすべての工程に関わってくる重要な項目の一つが紙の選定です。
用紙の厚さは重さ(斤量)で決まる
紙質と紙の厚さを決める際、印刷会社では「コート紙(種類)の135kg(厚さ)を3000枚(量)」というように決めます。なぜ、紙の厚さの単位がkgなのか? 厚さなら通報、ミリ(mm)単位を使いますが、印刷会社は一度に大量の紙を扱います。そのため、用紙は基本的に重さ買いです。1kgあたり〇〇円というように、kgを基準とした”キロ単位”で主に取引されています。こうした用紙の重さを総称して印刷会社では「斤量(きんりょう)」と呼んでいます。
用紙の斤量を表す指標
そして、重さを表す2つの指標があります
- 坪量(g/㎡):1㎡あたりの紙の重さ
- 連量(kg):規格寸法に仕上げた紙1,000枚の重さ
私たちが取り扱っている紙で多いのは上質紙、マットコート紙、コート紙の3種類ですが、ここでは四六判という用紙サイズを例に表を見てみましょう。
四六判 | コート 紙 | マット コート紙 | 上質紙 | 特長・用途 |
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135kg | 0.130㎜ | 0.190㎜ | 0.195㎜ | しっかりした厚みがあり、パンフレットやポスター、会社案内、CDジャケット、商品カタログの本文用紙に使用。 |
110kg | 0.105㎜ | 0.145㎜ | 0.160㎜ | ある程度の厚みがあり、パンフレットやポスター、会社案内、商品カタログの本文用紙に使用。 |
90kg | 0.090㎜ | 0.115㎜ | 0.130㎜ | チラシやフライヤー、カタログなどの冊子の本文用紙によく使われる。一般的な新聞折込チラシより少し厚いのでしっかりしたチラシを作りたい場合に使用。 |
73kg | 0.080㎜ | 一般的なコピー用紙とほぼ同じ厚さ。新聞折込やポスティングのチラシ、冊子の本文用紙に使用される薄めの用紙。 | ||
70kg | 0.090㎜ | 0.100㎜ | 〃 | |
68kg | 0.070㎜ | |||
63kg | 0.060㎜ | |||
55kg | 0.080㎜ | 一般的なコピー用紙より少し薄い用紙。300ページ以上の冊子の本文用紙などによく使用される。 |
ここで注目して欲しいのは横の行の数字です。例えば、同じ四六判135kgの紙でもコート紙と上質紙では一枚当たりの厚さが0.065mm違います。なぜ厚みに差が出てしまうのでしょうか? それは紙の製造工程に理由があります。
紙の製造工程
シーズニングまでは基本的に製造工程はほぼ同じです。この状態で終わると上質紙になります。マットコート紙、コート紙はここからさらにカレンダー(キャレンダー)という機械に通していきます。
カレンダーとは、金属ロールと弾性ロールを交互に積み重ねた装置で、紙はこの間を通りながら加熱、加圧、摩擦により平滑で均一な厚さの高い光沢を持つ紙に仕上げられます。
コート紙の場合、高い光沢を出すためにさらにスーパーカレンダーという、カレンダーが何段も積み重なった機械に通します。
マットコート紙の場合は、コート紙よりスーパーカレンダーに紙を通す段数を減らしたり、塗料面の条件を抑えると出来上がります。
この工程を行うことで上質紙、マットコート紙、コート紙の厚みに違いが出ます。
つまり、製造工程の多さに比例して薄くなっていってるのです。
ちなみに、コート紙のあの光沢はスーパーカレンダーで圧をかけ続けることで生み出します。塗料を塗っただけではコート紙のあの光沢は出ないんです。
これはちょっとした印刷会社の失敗談ですが…
オリジナル段ボールを制作した時、紙厚のことを考慮せずに入れる商品と同じサイズの段ボールを作ってしまいました。そうすると箱の中側が小さくなってしまい、商品が入りません。紙厚を理解していないといけませんね。仕上がりから各10mmプラスで作成するとジャストサイズのダンボールを作成することができます。
例)A4(297×210)/上質110㎏(0.160mm)/1000枚の箱を作成する場合…内寸:307×220×170mm
デザインももちろんそうですが、紙の選び方によっては、商品のクオリティに差が出てしまうこともあります。富沢印刷では営業スタッフが丁寧にお客様のご要望をおうかがいし最適解をご提案します。印刷のご相談は富沢印刷まで。