1.量子コンピュータとは何か
量子力学の原理を使って動作する、新しいタイプのコンピュータのことです。通常のコンピュータは0か1の「ビット」(単位)で一つづつ順番に演算していきます。30年くらい前だと8ビット、16ビット、今時は64ビットとなり、ビット数が大きいほど演算能力が高くなりますが、どんなに早くても順番に処理していくので、車でいうと排気量が上がってスピードが速くなるイメージでしょうか。ですがどんなに排気量を上げても大量にガソリン(電気)を消費するだけで効率が悪くなり、いずれ限界が来ると言われています。量子コンピュータは「量子ビット」といい、0でも1でもあるビットで、順番ではなく複数を同時に処理する事が可能コンピュータです。同じ電力でも膨大な計算が同時に可能と言われています。
2.重ね合わせ(0と1の両方の可能性を持っている)
普通のビット:湯呑の中にお茶が入っている、入っていないが最初からはっきりしている。量子ビット:フタを開けるまで入っているか、いないか判らない状態で両方の可能性がある事、これを重ね合わせといいます。どちらなのかは「ゲート」(フタを開ける)を通ることで確定します。
3.量子もつれ(どちらかが決まれば、もう片方も決まる)
0か1の可能性がある量子ビット同士のどちらかが0になるともう一対の量子ビットはどんなに離れていても(宇宙の果てと果てでも)即座に1となるという現象です。テレポーテーションやオカルトの雰囲気ですが量子の世界ではこのような事が起きます。
4.量子コンピュータの計算原理
量子コンピュータは、量子ビットを使って計算を行う際に、重ね合わせ、もつれ、干渉などの量子力学的な原理を活用します。通常のコンピュータが1つずつ計算を行うのではなく、複数の計算を同時に並行して行うことができます。これにより、特定の問題に対して、指数関数的に速い計算が可能になります。従来型だと何千年もかかる計算を数秒~数時間で解くイメージです。

5.何に役立つ?
量子コンピュータは、並列計算や計算速度の面で従来のコンピュータを凌駕する可能性があります。特に、素因数分解や最適化問題、大規模シミュレーションなど、従来のコンピュータが得意でない問題に対して非常に強力な能力を持っています。しかし、まだ技術的な課題が多く、実用化には時間がかかるかもしれません。それでも、将来的には新しい材料や薬の発見、効率的な最適化、安全な暗号技術などの分野で革新を起こす可能性があります。