印刷マニアック

どれを選べばいいの?色校正のいろいろ

色校正とは、本刷りの印刷をする前にどんな色に上がるかを確認する作業です。会社での業務のなかでもパソコンのモニターで見る色と出力した紙の色合いが違う事がありますよね。プリンターの性能にもよりますが、モニター上の色はRGBで表現されているのに対して、印刷物は主にCMYKで表現されるので色が変わってきます。またRGBに対してCMYKの表現領域は狭く再現できない色があります。

画像引用先 Designature

色校正はなぜ必要か

電機製品のパンフレットの製品の色が実物と全く違ったり、食品の画像が青っぽくておいしそうに見えなかったりすると商売に悪影響がでますよね。またそういった商品でなくても、せっかくデザイナーがこだわって作ったデザインが思った色に表現されなければ台無しです。色校正なしで大量の印刷物を本刷りして色が想定と乖離していて、刷り直しとなったら余計な費用もかさみますし納期も間に合わないことも出てきます。そんなことを避けるために色校正は行われます。

色校正はどれを選べばいいの?

本機校正、簡易校正?平台校正・・・え、インクジェット校正?
校正にはいろいろな種類があります。その違いを簡単に説明すると本番の印刷物と相違がない(再現度が高い)ほど金額は高くなり、安価なものは再現度が低いです。クオリティーがコストに比例するというわけです。校正は印刷会社としては本機校正をお勧めしますが、ご予算との兼ね合いでご選択ください。

再現度費用
本機校正×
本紙校正(平台校正)
インクジェット校正
簡易校正(カラーカンプ)(○)

では実際にどのような違いがあるか簡単に説明していきます。

 

 

■本機校正

本機校正は本番と同じ機械、用紙、インク、同じ環境(オペレーターも同じことが多い)で印刷を行います。色校正で確認して校了となった場合、本刷りでも同じ色を再現する事が可能です。実際には印刷日の湿度などで色の出方がかわることはありますが、オペレーターの技術力で合わせます。
本番同様に刷版を出し印刷をかけるので費用が高い(3万円前後)・納期がかかるなどのデメリットはありますが、色のシビアな案件には本機校正をお勧めします。

色へのこだわりが強く、コスト・納期に余裕がある人のための色校正

  

■本紙校正

本機校正まで費用も時間もかけられない場合、本紙校正(平台校正)を検討します。本紙校正は名前の通り本刷りと同じ紙でする色校正です。特殊紙は色の出方にそれぞれの特徴があるので最低でも本紙校正をお勧めします。ただし印刷機は別物であり印刷の仕組みが違う校正専用の機械で刷るので色のミスマッチが起きることもあります。本紙校正では特色・ニス引きなども可能です。本機校正は全紙に多面付して刷るのに対して、本紙校正は印刷物の仕上がりサイズによって金額ががわってくるのでA4チラシなどの小さいものの色の確認には低コストで刷ることができますが、逆に頁物を全ページ見たい場合などは、本機校正と金額差があまり出ません。

費用は抑えたいけど、本番と近いイメージで色を確認したい人向け

 

インクジェット校正(プルーフ)

大判インクジェットプリンターを使用して行う色校正です。用紙も機械も別物です。多くの場合用紙はツルツルした紙一択です。用紙が決まっているため、本刷りが上質系の紙に刷る場合は色味がかなり変わってくるので注意が必要です。一般に頁物の校正につかわれることが多いようです。かつてデジコンと呼ばれていたものの後身がインクジェットになるので、年配の方に「色校はデジコンでいいかな!」といわれたら今はインクジェット校正のことと思ってよいでしょう。こちらは特色やニスの印刷は不可。弊社では色校正としてはあまり活用されていない現状です。
本機校正などと違い版が不要なので、データがあれば即日印刷ができます。

急ぎの人、低価格でざっくりした色や文字内容を確認したい人向け

 

■簡易校正(カラーカンプ)

こちらは一般的なものではないかもしれませんが、当社ではオフセット印刷と色が合うようにカラーマッチング調整されたオンデマンド機があります。印刷機は別物ではありますが、場合によっては用紙を合わせることも可能です。デザイン会社のプリンターで出したものを色見本として受け取ることがありますが、オフセットで全く色が合わないということが多々ありますが、当社のプリンターで出した場合は大きく乖離がないように設定されています。「時間もお金もかけられないけれど自社のプリンターの色は信用できない」という方は印刷前にカラーカンプで色味をご確認いただけます。

簡易的な確認であればこちらがおすすめ!

 

色校正のトラブル

表面加工 PP

印刷後の表面加工でPPをかけることがありますが、PPをかけると未加工の印刷物より色が濃く見えるようになります(印刷濃度で5%~10%程度上がるといわれています)。濃い色の部分はあまり気にならないことが多いですが、淡い色では変化が大きいです。また人肌は顕著で、赤が強く見えてしまうので酔っぱらったような色になるので注意が必要です。ちなみに上記は光沢PPの例で、マットPPの場合はまた違う色調変化で少し沈んだような印象になります。

色見台・照明

色は校正を見る環境にも影響されます。照明の光にも色があり、オレンジがかった白熱灯の元でみると赤みが強く見えます。よって色見台、または自然光で見ることをお勧めします。自社事務所で見た時は全然違う色に見えて慌てて客先に色校を届けに行ったら、そこではぴったり色見本にあってなんてことも。色校を見る外的要素も大切です。
また、全紙と断裁後では見え方がかわってきます。印刷物の全体のイメージを捉えたいときは実際のサイズにカットした状態でチェックしましょう。もしあなたが印刷営業であれば、仕上げに仕上げた状態のもの1部と全紙の色校を持っていくと親切です。特にページものの校正は面付された状態ですと順番がバラバラとついていて確認がしにくいので、ページ順に仕上げた状態で持っていくと喜ばれますよ。

 

さいごに

こだわりの印刷物をつくるには欠かせない色校正。クオリティーを求めるのであれば本機校正をお勧めしますが、時間もコストもかけられないという方には印刷立会いも当社では歓迎しております。「一度本機校正をしたけれど100%満足できない。もう一回本機校正をするのはコスト的に厳しいけれど、あともう少し赤みを上げたものを最終チェックしたいな」などの要望も立会いでかなえる事ができます。

当社では、色のシビアな案件もとことん営業・現場がお付き合いしますのでお仕事お待ちしております。

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