裏写りとは
裏写りとは、印刷や製本などの工程の中で重ねられた印刷物のインキが他の紙に写ってしまうトラブルのことを言います。フチまで印刷された印刷物、裏面を見るとぼんやり表面の色がまわっていることはありませんか。このような裏写りの多くは印刷後の断裁時に発生します。
前回、印刷時の裏写りの原因と対策をお伝えしましたが、今回は断裁時の裏写りをサクっとご紹介します。
断裁の工程
印刷屋における断裁機は、用紙の束を上から押さえつけて位置がずれないよう固定してから大きな刃で断裁をします。いやいやイメージつきませんという方は下記の動画からご確認ください。
発生する原因
上記の断裁工程で裏写りが発生するのは2パターンあります。
1.抑えの圧によってインキが付着した 2.断裁刃が直接的にインキを裏側に運んだ
1.抑えの圧で色が裏についた
ひとつめは抑えの圧によって裏写りが発生するケースです。先ほどの動画の通り、断裁は「抑える→断ち落とす」という流れで行うのですが、この上から“抑える”力によってインキ写りが発生します。当社の機械の抑えの幅は8cmなのでこの幅にペタのインキが乗っていると、隣り合う紙にインキが転写されてしまうというわけです(※この写真は裏写りが発生しやすいよう実験的に刷りたての印刷物を断裁したものなので、実際はこんなにも裏移りがすることはあり得ませんのでご安心ください)。
・インキを十分に乾燥させる
・抑えの圧を調整する
2.断裁刃が直接的にインキを裏側に運んだ
ふたつめの裏写り発生要因は断裁刃が直接的にインキを運んでしまうケースです。断裁面に黒いインキがまわっているのが分かりますでしょうか。これは断ち落としがベタのデザインの場合に発生します。断裁の他にも穴あけなどでも同じ理由で裏に色がまわることがあります。
・インキを十分に乾燥させる
・断ち落としデザインを避ける。または裏面を裏写りが分かりにくいデザインにする
・1枚ごとに合紙をいれてから断裁する
さいごに
完全に回避する事が難しいトラブル「裏写り」ですが、印刷工程・製本工程でリスクを減らすことは可能です。乾きにくい用紙に油性のオフセットで刷る場合は、まずは乾燥をしっかりさせ、色の濃い断ち落としのデザインは事前に避けるようにしましょう。用紙もデザインも変えることができないという場合、最後の裏写り対策として一枚合紙という手もあります。しかし、断裁前の全紙の用紙に一枚ずつ手作業で色上質などの紙を入れて、断裁後にまた手作業で色上質を抜いていく作業は大変な手間で、時間も費用も余計にかかるのであまり現実的ではありません。
富沢印刷では、インキ皮膜を瞬時に硬化するUV印刷機もありますのでリスクの高い印刷物の場合はUV印刷機で対応させて頂いてます。また当社では一級印刷技能士を取得したオペレーターが丁寧に担当させて頂きますので、印刷物作成の際はぜひご相談ください。