印刷マニアック
当社サイトの「印刷マニアック」は、ちょっと他では聞けないような”通好み”の印刷知識・情報を発信するコーナ ーですが、そもそも「マニアック」という言葉は、英語のmaniac〔発音 méini`æk メイニアック 米英語〕が外来語として私たちの日常に定着したものです。
maniac
原語のmaniacと日本語のマニアックはほぼ同じ意味で使用されていますが、以下の例文の通り、英語の方が「狂気に満ちた、異常な」という強い印象を受け手に与えるように思います。
・ a homicidal maniac
・ a fishing maniac
・ He is a maniac.
殺人狂《人》
釣りマニア(たち)
彼は変質者です。
研究社 新英和中辞典
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MINIACⅠ
さて、歴史の中で、第2次世界大戦直後の1952年、アメリカ合衆国のロスアラモス国立研究所でMANIAC Ⅰ(マニアック・ワン)と名付けられた機械装置が誕生したことはご存じでしょうか? 正式名称は、Mathematical Analyzer Numerical Integrator and Automatic Computer Model Ⅰといい、コンピューター黎明期の代表格として知られています。このMANIACⅠは、世界大戦中に弾道計算をするために米軍が心血を注いで開発していたENIAC(エニアック)の後継機で、CPUと記憶装置を切り離した現代のコンピューターの原型でもあります。そして、その研究開発の中心人物であった数学者ジョン・フォン・ノイマン(1903-1957)の名を取ってノイマン型(ノイマン・アーキテクチャー)コンピューターとも呼ばれています。
もう一人のマニアック
実は、MANIACⅠの完成より10年も前から、イギリスでは数学者のアラン・チューリング(1912-1954)が対戦国ドイツの暗号を解読するために同様の思想・機構を備えたコンピューター(当時は暗号読解機と呼ばれました)を開発していました。本来でしたら、コンピューターの最初の発明国はアメリカではなくイギリスとなるわけですが、英国軍事機密により1966年まで秘匿にされていていたため、現在でも世界初のコンピューターのことはあまり知られていません。どちらが先にせよコンピューターは戦争のための知的武器として生まれたのが始まりです。ロスアラモス国立研究所が日本に投下された原爆開発の軍事拠点であったという史実を見ても明らかです。
付け加えるならば、コンピューターを発明した2人の天才科学者は残念ながらどちらも悲劇的にこの世を去っています。ノイマンは核兵器開発の際に被ばくしたことにより53歳で死去、その3年前の1954年にチューリングは42歳の若さで自らの命を絶っているのです。