TikTokについてのマニアック・トピックス
- SNSは、やや和製英語
- TikTokは34歳からのおじさんエンタメ
- セレンディピティを生み出すアルゴリズム
- 最初の2秒はYouTubeのサムネイルのようなもの
- 《上海滩》はリバイバル、コンビネーションの妙
1. TikTokとは、短尺の動画をシェアできるスマートフォン向けのサービスで、SNSのひとつです。もともと15~60秒という秒数制限のあるコンテンツでしたが、2021年から最大3分の動画を投稿できるようになりました。
【マニアック】SNSは、やや和製英語
現在、頻繁に使われる「SNS」という言葉ですが、Social Networking Service(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の頭文字から成り立っています。英語圏ではあまり「SNS」というワードを使うことはなく、「Social Media」という言い方が一般的です。[*1]
2. TikTokは10~20代の若者世代に人気が高く、ショートムービーをテンポよく閲覧することが流行しています。気に入った楽曲に合わせて歌い踊る姿を投稿するなどエンタメ中心の動画プラットフォームです。
【マニアック】TikTokは34歳からのおじさんエンタメ
博報堂が発表した2022年版「コンテンツファン消費行動調査」を解説した記事では、日本のTikTokユーザーの平均は34歳と発表されています。
出典: DIGIDAY[日本版].“日本のTikTokユーザーは平均34歳、博報堂調査が示す実態:要点まとめ”.2021-09-16.分島翔平.
https://digiday.jp/platforms/the-real-image-of-tiktok-users-from-the-content-fans-consumption-behavior-survey/
TikTok=若者メディアではなく、ユーザー年齢層が上昇しているのは事実です。上記の図に多少の私見を交えてとらえるならば:
- TikTokは20歳代の男女(若干女性が多い)が活発に動画投稿をしているものの、それら動画は35歳から50代までの幅広い男性層に支持されている。
- また、35歳以上も独自路線で精力的に動画も投稿している。
- ただし、40歳以上の女性層には比較的人気がない。
という傾向が見てとれます。[*2]
3. TikTokはアプリを立ち上げた瞬間から「おすすめ」動画が流れ、それら動画を見ているだけで楽しめる作りになっています。このレコメンド機能とショートムービーの特性が合わさり、TikTokは多くのユーザーを獲得しています。
【マニアック】セレンディピティを生み出すアルゴリズム
得てして、私たちはアマゾンのような大手ショッピングサイトのAIアルゴリズムが提供するレコメンドに信頼をおいていません。博報堂2022年版「コンテンツファン消費行動調査」(前掲[*2])では全体平均26.1%という低い信頼度が発表されていますが、TikTokはレコメンド信頼度46.5%という高い調査数値が出ています。「おすすめ」と提示された動画が気に入らなければ瞬時に次の動画へスクロールできるTikTokならではの設計が功を奏しています。そして、視聴者の趣味趣向に合致した動画を次々とレコメンドしつつ、たまに傾向の異なる動画を織り交ぜることで、「あれっ、こんな面白いのもあるんだ!」と新たな発見に出会うのです。これを「セレンディピティ(Serendipity)」と言います。偶然をきっかけに予想外のものを見つけ、価値を見出し、幸運をつかみ取る幸せを意味します。これがTikTok独自のAIアルゴリズムです。
4. TikTokで動画をバズらせるには「最初の2秒」が大切です。
【マニアック】最初の2秒はYouTubeのサムネイルのようなもの
TikTokでは「おすすめに流れてきたときの最初の2秒で、面白いか面白くないか(その動画を見るか見ないか)が判断されます」[*3]
最初の2秒を決めるとき、一番わかりやすいのは、そのシーンをサムネイルにできるかどうかを考えること。例えば、YouTubeでお菓子のお城を作る動画の場合、「今日はお菓子のお城を作ります!」というシーンではなく、みんなの興味を引けるようにお菓子のお城が完成したシーンをサムネイルにしますよね? だからTikTokでは、最初に完成したお菓子のお城を最初の2秒でバーンと見せることが大切なんです
マツダ家の日常(2022)
5. TikTok動画にとってBGMは大きな役割を果たしています。もともとはマイナーな曲がTikTokで人気になり、メジャーな音楽チャートにランクインする例も数多くあります。
【マニアック】《上海滩》はリバイバル、コンビネーションの妙
広東語の歌曲で有名な《上海滩》は、1980年に作られ、香港ドラマや映画の主題歌にも起用された昔の曲ですが、TikTokではエンタメ料理のショートムービーにBGMとしてリバイバル起用され動画は人気を博しています。出演している男性の料理人と食材を持ってくる女性はどちらも若く、同時代とは全く思えませんが、動画の演出としては見事なコンビネーションです。これも偶然が起こすセレンディピティであり、TikTok動画の魅力のひとつだと思います。[*4]
動画の中の料理人の立ち振る舞いや衣装、なぜ中華包丁をまな板に突き刺すのか、女性の方も毎回なぜ鉄門を足で蹴飛ばして登場してくるのか、日本人の筆者にはナゾな点が多いのですが、TikTok日本版の現在のキャッチフレーズである「世界をもっと好きになる」がその理由を物語っているように思えます。
参考文献
- [1] 中田達也(2022).『英語は決まり文句が8割 今日から役立つ 定型表現 学習法』. 講談社現代新書
- [2] 博報堂コンテンツビジネスラボ編(2022).『コンテンツファン行動調査レポート』(2022年調査版).博報堂DDYメディアパートナーズ
- [3] マツダ家の日常(2022).『TikTokハック あなたの動画がバズり続ける50の法則』.KADOKAWA
- [4] Baidu百科.“上海滩”.https://baike.baidu.com/item/%E4%B8%8A%E6%B5%B7%E6%BB%A9/2768340
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